嗚呼、ようこう

 JAXAのプレスリリースで10年以上に渡って太陽を観測し続けた太陽観測X線衛星「ようこう」が大気圏に突入し消滅したようだ。

JAXA|太陽X線観測衛星「ようこう」(SOLAR-A)の大気圏再突入結果について

 「ようこう」に関してはかなり思い入れがある。私が、京大に入ったときにはまだ「ようこう」は健在で日々観測を行っていた。私のついた指導教官が太陽の専門家でもあったので、その関連で太陽の観測そして研究に触れる機会が多かった。D1の夏には鹿児島県内之浦で2週間近く「ようこう」の衛星運用当番もしたことがある。私のような理論的な研究をしているものが実際の観測衛星の運用に触れることが出来たのは本当にいい経験だった。余談だが、その鹿児島に行ったときに地元の酒屋でプレミア焼酎「魔王」を手に入れた。ある意味かなりの偶然だったのだが。その後しばらくして「ようこう」の制御ができなくなったと聞いた。そして何度か復活を試みたがそれも全て失敗に終わった。その後、電源を全て落とし、活動を停止した。そして今回、大気圏に突入し消えていった。

 「ようこう」は当初上げる軌道よりも若干上になってしまったため、10年以上に渡って観測することが出来た。「ようこう」が見た太陽は今までの我々の想像をはるかに超えるものだった。現在日本では次期太陽観測衛星「Solar-B」計画が動いている。「Solar-B」も「ようこう」と同じく多くの研究成果を上げてくれることを期待している。